まほろばに神鹿を追って

Chasser le cerf de Dieu à Nara

私にはここしかない『鎌倉殿の13人』 ~歴史文学論⑦~

NHK『鎌倉殿の13人』

工藤祐経
「怖いところだ、この鎌倉は。
私が生きていくところではない」


北条義時
「ようやくわかりましたか。
他に行くところがあるのなら、
一刻も早く出ていくことをお勧めします。
私にはここしかない」


武田信義
「おまえたちはおかしい! 狂っておる!」


武田信義
「謀反とは何か!
謀反とは、家人が主人に対して行うこと。
わしは一度も頼朝を
主人と思ったことはないわ!」


北条義時
「姉上、
あなたの『赦さぬ』ということは、
そういうことなのです」


北条義時
「父を赦してくれ」


NHK『鎌倉殿の13人』


私はNHK大河ドラマ
毎年慣例で観るわけではなく、
最近では昨年の『青天を衝け』が
久しぶりにグッジョブだな~と
楽しんで通観できたぐらい。
それより前は
2016年の『真田丸』まで遡ります。

真田丸』も『新選組!』も
そしてこの『鎌倉殿の13人』も、
手がけられた三谷幸喜さんは
ずば抜けて群像劇が巧い。

私は歴史文学論のレポートに
手を入れながら、
昨日放映の17話を観ていました。
曾我兄弟がかわいいな、
能の『小袖曾我』を思い出しつつ。


舞のかざしのその隙に。舞のかざしのその隙に。兄弟目をひき。これやかぎりの親子の契と思へば涙も尽きせぬ名残。牡鹿の狩場に遅参やあらんと。暇申して。帰る山の。富士野の御狩の。折をえて。年来の敵。本望を遂げんと。互に思ふ瞋恚の焔。胸の煙を富士おろしに。晴らして月を清見が関に。終にはその名を留めなば兄弟親孝行の。例にならん。嬉しさよ。


それ以降の物語の展開は、
先の歴史の知っている身であっても、
「え、私、大河ドラマじゃなくて
映画の『ゴッドファーザー』観てる?
それも最高傑作のパートⅡ?
小四郎はマイケル・コルレオーネ?」
と瞬きも不可の、怒涛の骨肉の悲劇。


私は迷信深い男だ。もし、私の息子に不幸な事故が起こったら、警官に頭を撃たれたり、刑務所で首をつったり、雷に撃たれたりしたならば、私はこの部屋の誰かの仕業だと思うだろう。私は絶対にその者を許さない。
ドン・ヴィトー・コルレオーネ


私は兄を殺しました。私の母の息子を、私の父の息子を、私は殺しました。
マイケル・コルレオーネ


生まれ故郷を目指した木曽冠者義高、
信濃に向かえば追手が待ち構えている。
それでもどんなにか
帰りたかっただろう、故郷へ、
父との想い出にあふれた産土へ。


源義経
「この先、私は誰と戦えば良いのか」


私は鎌倉の人びとが好きです。
私も小四郎のように、ここしかない、
ここしかないのだから。
逃れられない、逃れない、
ここで生き抜くしかないのだから。