12月4日11時、
ならまちの蕎麦処『玄』の門前。
奈良県民は意外と行った人は少ない、
通好みの蕎麦屋さんです。
奈良テレビの情報番組『角角鹿鹿』で
加藤雅也さんが玄を訪れられたとき
「食べたことのない蕎麦」と仰られ、
それ以来「前代未聞の蕎麦」を
食べたくなりまして。
12月は私の誕生月でもあり、
お祝いの膳も兼ね、
1か月前に予約を入れました。
打つ蕎麦の量が限られているので、
玄は予約を入れないと
絶対に食べられません。
11時30分の予約時間より早く着き、
ご亭主から「25分に来てください」
と促され、時間つぶしにならまち散策。
ならまち工房Ⅲに来ました。
おー、今回も猫ちゃんが屋根に!
keika1216keika.hatenablog.com
以前もこの屋根に猫がいました。
耳がカットされた地域猫たち。
ここは猫が大切にされている、
すばらしい商業施設です。
避妊手術された保護猫の
里親募集もされています。
今住んでいるマンションは
基本的に動物飼育禁止なので
我が家は里親にはなれないのですが、
もし猫を迎い入れることが可能なら
地域猫一択です。
心霊写真?
右手、大乗院庭園と奈良ホテル。
見てる見てる!
綺麗な猫です。
すんごい威厳。
寝ました。
11時25分、玄へ。
なんかね、お茶室っぽい。
せいろ蕎麦、水蕎麦とも。
そのまま、塩、おつゆ、
と段階を踏まえて食べます。
今日は地鶏汁がありました。
食材が混ぜ物無しの一級品と
すぐわかりました。
素麵のように細く、弾力に富み、
うーん、確かにこれは、
食べたことのない蕎麦!
息子は田舎蕎麦。
挽きぐるみの蕎麦です。
「山葵も美味しいよ」と息子。
香りが段違いです。
山葵の器、栄螺の形。
器がどれも念の入ったもの。
蕎麦豆腐。
湯葉と味噌納豆と山葵を載せ。
え、これ何?
ぷりぷり、しゃきしゃき、
ほんとうに、食べたことない食感!
蕎麦がき。げっきうま。
息子が貪り喰らっていました。
蕎麦湯も葛湯のように濃厚で、
懐石料理をいただいているようで、
やっぱりお茶席に呼ばれた感じです。
主人の席は床の間の前、
和室の正客の席で、
背後の掛け軸がますますお茶席っぽい。
揮毫者の東大寺公敬とは、
東大寺長老の北河原公敬猊下です。
東大寺福祉療育病院でのお祭りで、
私も息子も猊下にお会いしました。
「千虚不如一實」とは、納得。
蕎麦饅頭。
蕎麦粉って、風味豊かで、
葛粉みたいな食感。
やっぱり餡子は甘くない、上品。
これはもう、お茶席です。
なんだろ、蕎麦屋というより、
茶道の初釜に招かれたような。
これは人を選ぶお店。
はまる人は、はまる、でしょうか。
そもさん! せっぱ!
試される禅寺のような。
『あしたのジョー』の丹下段平みたいに
冷酒と共に掻きこむ笊蕎麦とは異なる。
蕎麦って庶民のものだと思うのですが、
なんでも極めれば風格が伴うようで。
「ママが満足できたらOK」
と主人と息子。
お付き合いいただき、
ありがとうございました。
誕生月の良い想い出になりました。
聖ラファエル教会側の裏門から
奈良ホテルのフロントへ。
近道です。
奈良の迎賓館。
古い木造なのでやっぱり冷える。
私には奈良ホテルは
自腹で行くところではないのです。
接待のお相伴として、
金魚のフンとして、漂うところ。
それでも
人生には姿勢を正す機会も必要で。
千虚不如一實の奈良の冬。
寒さもなにくそ、
気合を入れて闊歩しました。