奈良大学通信まよい鹿

奈良大学通信教育部に入学しました

ルリセンチコガネと私 ~飛鳥、高取、吉野山~

私は四季では夏がいちばん好きで、
それは万物の生きる力が漲る様に、
その儚さの尊さに、
胸を打たれるからです。
もう8月8日。
八月は夢花火とは、陽水さんのお言葉。
私にとって夏とは、浸るもの耽るもの。
先週の八朔、飛鳥から吉野へ、
遊びに向かいました。


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ここは国営飛鳥歴史公園
キトラ古墳周辺地区。
飛鳥を起点に動きます。


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男ふたり、広場を目に、競争開始。
これは本能でしょうか。


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腰痛がぶり返した主人、
息子に追いつかれ、追い抜かれ。
学生時代ずっと
リレーのアンカーに選ばれていた
駿足の主人、大ショック。


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キトラ古墳壁画体験館
四神の館を見学して、
高取町のカフェ「すこ。」さんへ。
3月以来、ひさびさです。
夏のスコーンランチ。
あいかわらず美味しかった。

味と創意工夫とコスパと雰囲気と
そして徹底されたコロナ対策。
すこ。さん、
飛鳥地域で一番のカフェだと思います。

私は飛鳥や吉野へ、
心地良さを求めて訪ねるのです。
食の追及は職場の大阪で充分。
だいたい私は美食家ではありません。
自分に見合った、
心温まる素朴な食事が好きなのです。


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男ふたりは、魯肉飯(ルーローハン)。
台湾のおふくろの味。
この丼、ものすごい量で、
主人も息子も必死で食べていました。
「無茶苦茶うまい」と唸りながら。
私もひとくちご相伴。
うん、八角が効いていて、
ほんとうにおいしい!
しかも、食べやすい。


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「これ、ずっと定番にしてほしい」
男ふたり、魯肉飯の虜です。
私は、すこ。さんでは、
やっぱりスコーンランチが食べたい。


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デザートのパフェ。
紅茶のブランマンジェ
ピンク色の果肉の桃、銘柄は川中島
すっきりとした甘さ、そして芳香!
桃の下は、柚子のソルベ。
甘い桃にとても合います。
ソルベの下は、紅茶のブランマンジェ
ブランマンジェはフランスの呼びで、
イタリア呼びではパンナコッタ。
濃く煮出した紅茶が甘くなく、
絶妙なブランマンジェでした。

こんな創意工夫の塊のパフェ、
550円なのです。
もちろんすべて、
美しいマダムの手作りです。


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「激ウマ」と辛党の男ふたりも唸る、
たいへん美味しいデザート、
季節ごとに変わります。
季節感を味わう、それが食の楽しみ。
セットメニュのドリンク、
私はバタフライピーの
ノンアルコールカクテル。
主人はアイスコーヒー、
息子はジンジャーエール、定番です。

すこ。さんの美しいマダムに
「今から吉野に行くんです」と言うと
「どの辺りまで?」と問われ、
「もうお昼なんで、下千本までかな?
すこ。さん、Facebook見ました、
天河にお参りされたんですね。
私も天河弁財天様へ参っても、
なんにも感じなくて」と答え。
「そうやの、私もなんにも感じなくて!
みんな神聖や~とか言うんやけど」
とマダムは笑われました。


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夏の吉野山
高取から吉野まではすぐです。
途中、比曽寺跡の世尊寺を垣間見。
吉野こそ持統天皇の本陣だとすると、
壮観です。


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吉野三橋の一つ、大橋。
元弘の乱大塔宮護良親王
吉野山を城塞化したとき、
尾根に設けた橋です。


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金峯山寺の黒門。
吉野山の総門です。
ここから、
修験道の吉野は始まります。


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仁王門が見えてきました。
あら、天河の雲行きが怪しい。


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修繕中の仁王門。
今年から令和10年までかかるそう。
総工費20億円の巨大プロジェクト。
雀の涙ですが、喜捨しようと思います。
ちなみに阿吽の仁王様は、
奈良博に仮住まいされています。


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蔵王堂。仁王門修繕に伴う
県道15号線の完全通行止めにて、
西側の道路へ迂回。
いつもとは異なる入門、
これがあと7年続くのです。


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あ、天河から雷鳴が響きました。
雷鳴は、天鼓とも言います。
うまいこと言う。


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私は雷が大好き。
でも稲妻に
狙い定められたら厄介なので、
お暇を蔵王権現様に告げ。


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銅(かね)の鳥居が見えます。
吉野山は、
じっくり腰を据えて訪れるべきですが、
入り口の触りだけでも仙境です。


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黒門をくぐり、
駐車場までてくてく歩いていますと、
主人がオオセンチコガネの死骸を発見。
オオセンチコガネは赤いものが多く、
青いオオセンチコガネは
奈良県和歌山県三重県
そして鹿児島県の屋久島にしか
生息しません。
緑がかった青、きーれーい!


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主人、またも
オオセンチコガネの死骸を発見。
なんて美しい青! 瑠璃色!
まさにルリセンチコガネです!

ルリセンチコガネは奈良公園
鹿の糞を目当てに生息しています。
しかし、奈良公園での
ルリセンチコガネは採集禁止です。
見つけて、少し眺めたら、
必ず放してあげないといけません。


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「持って帰る? 
奈良公園の子じゃないから、
この子、持って帰れるよ」
と息子に伺いますと
「ダメ、生まれたところの土に、
戻してあげるの」と息子断言。

二匹とも、土に戻してあげました。
それにしても主人、
昆虫ハンターです。
「二匹とも普通に道に落ちてたし、
ここ、吉野やもん、虫が
そこらじゅうにおって当然」と主人。

私は少し心残り。
あんな綺麗な瑠璃色のスカラベ
きちんと防腐処理して手元に
置いておきたかったな、と。


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はるかかなたに妹背山。
『妹背山婦女庭訓』の舞台。
吉野川に首だけの雛人形、そして桜。
蘇我入鹿は、子ども欲しさに
蝦夷が妻に鹿の生き血を飲ませたから、
入鹿と名付けられた。
藤原淡海(不比等)のモテモテっぷり。
奇想、幻想、ロマネスクそのものの、
人形浄瑠璃および歌舞伎の演目です。
上市のほうもきちんと訪ねないと。


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金剛葛城山脈から二上山
帰路は車窓から産土を眺め。


私は霊感山勘まったくなく、
鈍感です。
それでも畏敬の念は有していて、
自然に無理なく寄り添いたい。

雨の多い紀伊山地屋久島に
ルリセンチコガネは生息する。
しかし奈良公園が糞虫の聖地とは、
鹿の糞と芝生のせい?
私、まじで宝石なんかより
ルリセンチコガネのほうがいい。
でも、やっぱり生きたままの
ルリセンチコガネを眺めたい。

ルリセンチコガネのみならず
タマムシやハンミョウ、
どうしてこうも美しい虫を
神は産みたもうたのか。

人知の及ばない領域だこりゃ。

息子の言う通り、
生き物、生きた物には
敬意を払うべき。
なに、また吉野へ来ればいい。
もしくは奈良公園へ行けばいい。

美しい青のスカラベは、
黙ってそこで、輝いている。


ある考えに支配されると、どこへ行ってもその考えが表されているのに遭う。
風の中にまでその匂いが入っている。

トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』