奈良大学通信まよい鹿

奈良大学通信教育部に入学しました

『敦盛』 憎しみをどこまでも見果てぬ夢に ~歴史文学論⑤~

コロナワクチン2回目接種後、
不眠に陥り、不調が続きました。
国を恨みました、正直。
我々がされたことは正か負か、
100年経てば明らかになるか、否か。

とても明るく心優しいCandyCandyさんが
紡がれているブログ
『よかったら読んでいってください!』
のコメント欄に私が寄せた文章、
作家氷室冴子さんについて書いたものの、
「ああこれは敦盛だ」、
と自分でも思わせる内容で、
以下ここへ転用させていただきます。


瓊花

夜分に失礼いたします。
ほんと、CandyCandyさん、『なんて素敵にジャパネスク』書かれていましたね。既読のはずなのに、私やっぱり脳がおかしくなったかも。

CandyCandyさんご存じでしょうか、氷室先生のシンデレラシリーズ。私は『シンデレラ迷宮』の「シーラカンスの夢」が大好きで。白鳥の湖のオデットとオディールが姉妹で。
妹のオディールはふだんはみそっかすなのですが、姉の婚約披露のPartyで踊るオディールの美しさはすべての観衆を魅了する神がかったものなのです。当然、姉の婚約者もオディールに恋して、姉を捨てた男をオディールは拒否し、男は自ら命を絶つ、それを繰り返しているのです。
誰も、オディールの魅力に打ち勝つほど、オデットを愛していない。
オデットはそれでも恋をし続ける。そして、オディールは踊ることをやめない、男に騙され続ける姉を守るために。
いや、姉を幸福の絶頂で引き裂くために。

美しい母は、姉妹を産んで、父のもとを去った。父は、妻に似た姉娘を愛した。妹は夢見るのです、母のおなかのなかにいたころの、最も幸せだったころの夢、シーラカンスの夢を。
私、小学生でしたが、泣きながら読みました。

氷室冴子さんは、憎しみをどこまでも見果てぬ夢に変えられます。それ、ジャパネスクシリーズの吉野の君もそうですよね。
私は奈良県民なので、吉野はもう赤ん坊のころから通っています。見果てぬ夢が、最も似合う土地だと思います。

CandyCandyさんの想い、あこがれ、見果てぬ夢と同じで、透きとおって美しい。
男性に限らず、人に限らず、何かを好きになることの尊さ、ですね。


CandyCandyさん

瓊花さま💕

懐かしい~😆
きっと、実家の蔵の中(段ボール箱)にあります、「シンデレラ迷宮」💕

もちろん、読みました💕でも今も自宅に寘いてある「なんて素敵にジャパネスク」と違って、ストーリーを今はっきりと思い出せません💦

確かわたし、高校生くらいの時に読み、物語を旅する「りね」という女の子が、わたしたち女子の心の奥に眠っているよな~、みたいなことを思った記憶があります。

また実家に帰って探して読み直してみます‼️

私が、氷室冴子先生を好きなのは、「脇役」が、どの作家さんより素敵だから、です。

脇役の気持ち、瓊花さんのおっしゃるように「恨み」や「悲しみ」までも理解し、寄り添い、負の気持ちすら、包みこんで物語にしてくださる。

もっと長く生きて、たくさんの物語を紡いでいただきたかった。

こうやって、大好きな氷室冴子先生のことを語れる方がいて幸せです。


blog.goo.ne.jp
CandyCandyさんがどれほど素敵な方か、
よくわかるかと。
この方は、
皆に平等に暖かく光をそそがれる、
誰にも絶対に恥をかかさない、
本物の貴婦人です。
私もワクチンの副反応でつらいなか、
CandyCandyさんのブログを読むと、
その明るさに暖かさに
快復への前途が開くようでした。


太陽におなりなさい。そうすれば誰もがあなたを仰ぎ見るようになるでしょう。
ドストエフスキー罪と罰


CandyCandyさんこそ、
太陽のような方です。



敦盛 (対訳でたのしむ)
歴史文学論、今回は『敦盛』について。
お能と『平家物語』の敦盛の違い、
一目瞭然です。
死後の敦盛がどう振舞うか、です。

ネタバレですが、
かつての敵は一蓮托生を目指す、
それです。

「おまえ風情に私が名乗るはずもない。
そう、私はおまえには上物。
さっさと首を獲れ!」
命乞いなどまっぴらと言い放つ
平家物語』の敦盛、数えで16歳。
いやもう、しびれます。
熊谷直実の、実直なまでの優しさも、
青葉の笛の風雅を解する鋭敏さも、
私の胸を打ちます。

そんな見事なふたりの男を、
どうして敵同士のままでおけるものか。
それが世阿弥の本心だったのでは。

お能でも『平家物語』でも、
敦盛と直実の醸す
瞬きも惜しむ空気感、
そこはかとなく男色の香気ただよい、
それも人を惹きつけるのだと思います。

性差を超えて、人は人の魅力に平伏す。
それのいったい何がいけないのか。


ワキ(蓮生:熊谷直実
げにげにこれは理なり。さてさて樵歌牧笛とは

シテ(草刈り男:平敦盛
草刈の笛木こりの歌の

ワキ(蓮生:熊谷直実
憂き世を渡る一節を

シテ(草刈り男:平敦盛
謡うも

ワキ(蓮生:熊谷直実
舞うも

シテ(草刈り男:平敦盛
吹くも

シテ・ツレ(草刈り男たち)
遊ぶも


謡うも、舞うも、吹くも、遊ぶも。
世阿弥の畳みかけるbeat感、最高です。


ワキ(蓮生)
日ごろは敵

シテ(敦盛)
今はまた

ワキ(蓮生)
まことに法の

シテ(敦盛)
友なりけり


憎しみをどこまでも見果てぬ夢に。
負の気持ちすら包みこんで物語に。