志賀直哉がとにかく美しいと
褒め称えた奈良の都の夢の跡。
それらを切れ切れの
名画の残欠の美しさになぞらえて、
うまいこと言うなあ、と思います。
ですが、志賀先生、
13年過ごして奈良を離れました。
時代に取り残されてしまう、
埋もれてしまうと懸念されたゆえ。
これは、
実際に奈良に住んだ者にしか
わからない掻痒感です。
埋もれるとか塗れるとかの類い、
精神の酩酊に耽るにしては
志賀先生、
あまりにも明晰な方でした。
淡きこと水のごとし。
この、べたべたしない
精錬された姿勢を
貫かれた志賀先生が語られる
奈良の心象こそ、
私の最も好むところです。
ゴールデンウィークは
奈良公園で散歩ばかりしていました。
いつものコース、
高畑町から浮御堂までてくてく。
おっす。
側溝から顔をのぞかせるとは。
びっくりしたなあ、もう。
仔鹿、発見。
奈良の仔鹿は、逃げないねえ。
新緑と土塀。
神経に障る要素の全くない、
古都奈良の色彩。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
あ、いたの。
お尻、ハートの形。
これ以上は無理(by息子)。
限界(by息子)。
おなかいっぱい。
こっちはまだまだ。
主人が
「どこ見ても絵になるなあ」と。
ほんまにね。
頭塔を遠望。
玄昉の首塚と言われていますが。
散歩の帰りの昼食は
高畑町の「喫茶みりあむ」さんと
「そば処 勸」さんで。
みりあむさんも勸さんも、
味は美味しく空間は心地良い、
素朴で品の良い、
奈良らしい、すてきなお店です。
天神社の公園の遊具で息子は
一通り遊び、散歩は終了。
これを繰り返し、
今年のゴールデンウィークも終了。
鹿に混じって歩いていたら
気持ちもだいぶ晴れました。