奈良大学通信まよい鹿

奈良大学通信教育部に入学しました

愚痴ばかりの女 冗談ばかりの男 ~平安文学論②~

古典『蜻蛉日記』を表現するに、
「才色兼備だけど人として幅のない女」と
「適当に見せて実はバリバリ有能な男」が
結婚してしまった悲喜劇、に尽きるかと。
これはもう、男の圧勝、です。
で、表題にも揚げました、
「愚痴」と「冗談」の対比について。

蜻蛉さん(『蜻蛉日記』の作者)は、
十代の私にとって反面教師でありました。
「こんな愚痴ばっかり言ってるから、
旦那に嫌われるんだよ。
てゆうか、外の世界を知らないから、
家のことばかり、
旦那と息子のことばかり構ってしまって、
んで鬱陶しがられてまた嫌われる。
ダメじゃん、ダメダメじゃん!」
と同級生と批評していたものでした。

で、『蜻蛉日記』を読めば読むほど、
兼家の冗談好きの明るい前向きな性格や
人たらしの才覚や実務に長けた能力に、
するすると惹かれていくのです。
さすが道長のお父さんだな、と。
旦那を貶めるための愚痴が、
反って
旦那の魅力を知らしめることになるなんて、
蜻蛉さん、
やってられない、かもしれません。

私事ですが、
うちの主人、愚痴を絶対に言わないのです。
遺伝か生まれ育った環境か、
9歳の息子も、絶対に愚痴を言いません。
私はオナゴですから、
精神安定剤として多少の愚痴も必須でした。
が、それすら主人には許してもらえない。
こんな男と20年間一緒にいると、
私も愚痴を言わなくても
なんとかなるようになりました。
そして、愚痴を言う人が苦手になりました。

で、他人の愚痴を止める方法も、
私はこの20年の間に
マスターできるようになりました。
これ、偶然、元SMAPのリーダー中居くんも
私と同じ方法を採っていたので、
ちょっとうれしかったものです。
それは、
愚痴の対象(人・物・行動・思想etc.)を
敢えて褒めて褒めて、弁護して、
愚痴っている人に返すのです。
この方法、だいぶ、効きます。
その人、
もう二度と私には愚痴ってこない(笑)。

蜻蛉さんのように愚痴を止められない。
そんな人は、
愚痴っているときの私自身そうでしたが、
不安な人、です。
蜻蛉さん、だいぶ不安だったんでしょう。

真面目は美徳です。
しかし、不安を煽るための真面目なら、
冗談で場の空気を入れ替える、
そんな気働きのできる兼家のほうが、
やはり人間として何枚も上手(うわて)です。

あと、兼家の正妻の時姫の、
妻妾の立場を考慮せず同情を募ってきた
蜻蛉さんへ対して
「空気読めバーカ」とも取れる、
相手の弱みを的確に突く返答をするあたり、
ああ道長のお母さんだな、と知れて、
それはそれで蜻蛉さんの愚痴は
たしかに日本史の糧となっているのです。

いまは読書がいちばんの時節。
平安文学論、練り直そうと思います。


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ご近所のお社の桜。
遠出は無理ですが、
せめてもの春を惜しんで。