奈良大学通信まよい鹿

奈良大学通信教育部に入学しました

龍の眠る岡 ~飛鳥岡寺~

3月20日春分の日
遠出は控えて飛鳥へ行きました。
明日香村が近傍、というのも、
奈良県民ですので。

風は多少きつくとも陽射しが暖かで、
絶好の行楽日和。
ですが、万葉文化館の駐車場はガラガラ。
辛夷の白い花がほのぼの咲き、
こんな麗らかに萌えいずる飛鳥の春なのに。

中韓の観光客がいないだけではなく、
国内からの観光客も
車のナンバープレートを見る限り、僅少。
自然だけがすくすく健やかで、
それはもったいない気がしました。


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万葉文化館は休館でしたが、
隣接されたASUCOMEの店舗は営業中。
息子は『La Ville~都~』さんの
自家製ローストビーフ丼を注文。
主人はドリアを注文。
こちらのお店はローストビーフのみならず、
調味料までほぼ自家製。
どれもすーごく丁寧に作られていました。
甘酒入りのスープが絶品!
甘酒もお手製なんですと。


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私は『tabi tabi』で4種スパイスカレーを。
本格的ですが敷居の低いカレー屋さんです。
レモネードとジンジャーエールも注文。
ここのジンジャーエール
生姜がたっぷり、スパイシーで一押し!
今日はアイスにしましたが、ホットも可能。
体内スパイスで満たし、外へ出ました。
ASUCOME、私たちで貸し切りでした。


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敷地内の桜木蓮
ほんとうに人がいない。
花が独りで咲き乱れていました。


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飛鳥板葺宮跡。
楠は鳥の塒になっていました。
人が近づくと鳴きやむ鳥たち。
私が試しに口笛を吹くと
鳥たちがいっせいに囀り始めました。
で、私が口笛をやめると、鳥も口を噤む。
また私が口笛を吹くと、鳥が囀りだす。
げらげら笑いながら
しばらくそれを繰り返していたところ、
主人と息子に
ドリトル先生や」とあきれられました。
アッシジの聖フランチェスコとか
旧約聖書のソロモン王とか言ってほしい。


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遺跡へレッツゴー!
うーん、誰もいない、これまた。
古代の宮殿、貸し切り。


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飛鳥京跡。浄御原宮時代の井戸の復元。
とっても小さいころ、ここへ来たはず。
来てあたりまえの場所だったので、
もう何も覚えていなくて、新鮮でした。

ごく若いころなら、
この有名な遺跡を目にして
心臓が余分に脈打つこともあったでしょう。
人生半ば過ぎた今は、こう思うだけ。

ただみんな懸命に生きて
そして死んでいったんだな、風のように。
私もいずれはその風の群れに混じって、
消えていくんだな、
アキレウスのように、何をも一顧だにせず。


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死者を追うのが考古学、歴史なのでしょう。
私が追うべき死者はみな、
後ろ姿しか見せてくれませんが、
それでいい。


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くーッ、ピンボケ!
今年お初の土筆です。
この六角形の胞子の薄緑色、
蝉の生まれたての翅の色です。
私がいちばん好きな色。
こんなのどかな飛鳥の宮跡に生まれて、
なんてしあわせな土筆。


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飛鳥京跡苑池休憩場。
またも貸し切り←しつこい。


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遺跡と民家が併存する村、飛鳥。
住民の方々、なかなか大変なんですよ。


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犬養万葉記念館から石舞台へ向かって。
ここ、一応、メインストリート、かな。
飛鳥は観光ポイントが拡散しているので、
起点を駅にするか施設にするか、
寺巡りか遺跡巡りか目的を何にするかで、
中心点が変わってきます。


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犬養万葉記念館、休館でした。
雪柳が見頃でした。


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岡寺へ向かって坂道を選ぶと、
参道にこんな趣あるお店。
看板は『あすか燻製工房』、でも民家。
門をくぐり、
ミモザの盛花がかわいい母屋へ入ると、
無口なおとなしいお兄さんがお出迎え。
その朴訥さに感銘をうけました。

飛鳥にも都会と同じように
商売っ気丸出しのお店があるので、
そういったものを求めていない私には
ここはとても意に適ったお店でした。

主人はスモークチキンを一つ購入。
「『ソーセージもいかがですか』とか
勧めてこない、安心するわ、あの子」と。


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さて、
本格的な参道となってきました。
岡寺の塔、見えてきました。


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「パパ、暑くない?」
「暑いよ」
全員登り道に備え、上着を脱ぎました。


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岡寺到着。
手水舎にこんな一面のダリアの献花。


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ああ、きれい。
花って、ええなぁ。


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許される限り、
どこ行っても鐘を突いています。
実際突くと、
なんか斜め上から降りてきたような
清澄な音がしました。
お、鐘の向こうに薄い靄?


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左手に本堂。右手に鐘楼、その奥。
桜が咲いています!
あの色、上品な白、山桜?


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本堂前には赤い実がかわいいモチノキ。
そこへ吊り下げられたものは?


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龍玉、願い珠。
お願い事を書いた紙を珠に納めて
モチノキに吊るす。
息子は「持って帰りたい」と。
お守りとしてお持ち帰りも可能です。

「紙になんて書いたの?」
と息子に訊きますと、
「ちゃんとした大人になりますように」
との答えが返ってきました。

うわ……すでにちゃんとしてるよ、
そんな殊勝なこと願うなんて、さ。


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本堂でお参りを済ませてから奥の院へ。
ああやっぱり山桜だ、
この緑み帯びた白い花の色。
私にとって桜といえば山桜、です。


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龍蓋池。
義淵僧正に封印された龍の池。
不思議な人ですね、この義淵も。
草壁皇子の影のような。

言い伝えでは、封印された暴れ龍は、
夭折した草壁皇子の魂魄だとも。
なんて悲しいのか、
もしもその言い伝え通りなら。

引導を渡すために幼児のころから
義淵は草壁皇子に仕えてきたのではない。
しかし、草壁皇子の側に立てば、
血のつながった兄弟より近しい存在の
義淵そのひとに魂を鎮めてもらいたかった、
本望だったのではないか、と思えます。

草壁皇子にも無念はあったのでしょう。
言い伝えは正史を補うこともあります。


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私の十九歳の厄除けは、
ここ岡寺でご祈祷していただきました。
罰当たりにもポーッと座っていただけ。
草壁皇子より大津皇子が好きでしたので、
二上山が産土のあたしには
岡本宮はawayやで」とか屁理屈を捏ね、
にくたらしくもわかりやすい
満17才の古代史観でした。


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三重塔。
麓から見えていた姿のほうが大きい。
実物は「え、かわいい」の声が上がるもの。
ただし水煙の気高さ。

ここに至って草壁皇子の御母堂、
持統天皇を思い出しました。

持統天皇草壁皇子を息子というより
天皇にふさわしい存在」かどうかで
見ていたのではないでしょうか。
草壁皇子大津皇子を並べれば、
誰がどう見ても
大津皇子は先手に打って出るだろう逸材。
大津皇子の出自で天皇位を狙わないなんて、
どうかしてる、
としか言いようがなかったのです。

そんな時代、だったのです。


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肥後椿。あざやかな赤。

天皇の子に生まれたけれど、
天皇にはなりたくない、
そんなひとも存在したでしょう。

そういったひとたちは、
みな、どこへ行ったのか。

草壁皇子が上記に該当するとは
私には皆目見当もつきませんが、
意外と彼はつっぱねたのかもしれません。
いやだ! と。

だって、即位は可能だったはず。
草壁皇子天皇になれた。

いやこれは世迷言。
血より赤い椿の花に目がくらみました。
義淵が私にそれを言わせたのでしょう。


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池の水盤にもダリアの献花。
ゴールデンウィークには
花で池の水面を覆いつくすそうです。
壮観でしょうね。


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しだれ梅の蹲にもダリアの献花。
午後2時過ぎ、花が縒れてきています。
昼から参拝客も増え、
境内がすこし賑やかになってきました。
それでも、例年に比べれば、さみしい。
ダリアも首をかしげているようです。


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岡寺参道入り口の鳥居。
17才の春、厄を払っていただいた。
あれから30年近く経て、
やっと草壁皇子に御礼を言えた気がします。
ありがとう、守っていただいて。

このあと、石舞台へ行きました。
人がわんさか、
石舞台のまえの風舞台の広場で
テントを張って自然を楽しんでいました。
なんだみんなここにいたんだ、なるほど。
子どもも大人も、四肢を伸ばして
歩きたい走りたい、当然です。

板葺宮跡に岡寺に石舞台、
ベタすぎて、
汗が出るような飛鳥の散策。
でも、びっくりするほど楽しかった。
いつも車で来ているから、
ほんの5㎞歩いただけでも、新鮮。
足使って歩くって、基本ですね。


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花のあとには団子。
今西誠進堂の胡桃大福と
あすかルビー大福。
吉野と大淀にもお店があります。
はずれなし、の和菓子屋さんです。
焼餅が有名、みたらし団子も最高。
むかしながらの大和の味です。