奈良大学通信まよい鹿

奈良大学通信教育部に入学しました

ナニゴトノ不思議ナケレド ~シルクロード学②~

古代ペルシアと聞くと、
ギリシア側から見ていた自分がいます。
小国のアテネとスパルタが
巨大なオリエントの帝国を破る、
どきどきしますね。

ですが、奈良にはペルシアの残り香が。

アケメネス朝ペルシア帝国、
セレウコス朝シリア王国
アルサケス朝パルティア王国、
そして
サーサーン朝ペルシア帝国。
イスラームの怒涛の勢いに、
栄光の古代ペルシア帝国は
瓦解しました。

サーサーン朝の亡命政権がおかれていた
トカラ国(トハリスタン)から王族一行が、
斉明天皇の飛鳥の宮廷に
落ち延びてきました。
このダライ王子は
娘であり妻である王女を連れていました。

ギョッとしますが、
近親婚を奨励するゾロアスター教
古代ペルシアの国教であり、
イスラーム教に塗り替えられる前の
イラン系民族では、
特に高貴な人々においては、
あたりまえのことだったのでしょう。

昨日ブログで書いた
月氏の女王についても
そんなことを少し考えました。
ただ、月氏の宗教は
よくわかっていません。
その名の通り、「月」を信奉したとも。
実は月氏の天敵である匈奴
太陽と月を崇める上天信仰だそうで。
遊牧民に通じる何かが
見えてきそうです。

アケメネス朝も、
スキタイ人に対する国境防衛として、
バクトリアとソグディアナを強化しました。
漢における対匈奴みたいなものです。

スキタイも月氏もトハリスタンも
支配層ペルシアもサカも
根っこは同じイラン系遊牧民です。

洋の東西問わず歴史学
都市国家にばかり注目してきたかと。
遊牧の民の多くは
文字をもたなかったとされ、
それが彼らを軽視した理由の
一つでありました。
それでもスキタイの遺物の見事さは
文化のなんたるかを
一目で知らしめるものです。

ペルシアもアジアです。
日本もアジアです。
そろそろ
ペルシア側からギリシアを見ようかと。


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おふさ観音(奈良県橿原市)
毎年薔薇を楽しみに通うお寺です。
ここのカレーライス、
ハーブがたっぷりでおいしいのです。

薔薇の栽培は古代ペルシアで始まりました。
薔薇の原産地も西アジアから中国にかけて。
イランのシーラーズは
薔薇の都と呼ばれています。

ダライ王子は捲土重来を決意し、
トカラ国に帰っていきました。
飛鳥に残された王女はひとり、
父の娘を生みました。
父が戻ってきた形跡はありません。
波に散ったのか。
砂に埋もれたのか。
凶刃に斃れたのか。
日本のことなど忘れさったのか。

……飛鳥にも
薔薇が咲いていればいいのに、
と思いました。
遠い西域からやってきた
ペルシア人の王女ふたりのために。


『薔薇二曲』

薔薇ノ木ニ
薔薇ノ花咲ク。

ナニゴトノ不思議ナケレド。


薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。

照リ極マレバ木ヨリコボルル。
光リコボルル。


北原白秋『白金之独楽』より